その昔、ツーリング中に宿泊した諏訪湖のほとりにあるユーペンハウスに置いてあるのを見て欲しくなった郵便差出箱1号。
その後、何年かが経過し骨董屋に売りに出ていた程度の悪い郵便差出箱1号を手に入れる。
これには根石が付いていなかったため、手頃な根石付きを気が向いた時に探していた。
ひょんなことから、とある自治体が手放す情報を仕入れる。
まず、自治体が売りに出すことについていくつか疑問が浮かぶ。
そもそも、郵便差出箱1号を売ってもいいのか?。
元々は郵政省が設置していたもので、投函数減少により角形の10号などに取り替えられ不要になったものや、郵便切手取扱店の廃業などにより撤去し廃棄扱いとなったものが市場に流通している。
廃棄の流れについての詳細は不明だが、解体業者などに流れスクラップされたり、中には小学校や保育所といった公立学校の運動場の片隅にオブジェとして設置され第二の人生を送っているものもある。
解体業者などに流れたものは本来、投函口や本体の一部分を破損させ使用できない形にして引き渡されていたはずだが、そのままの状態で流れ、スクラップにされず市場や骨董屋に出回って高値で取引されている現状がある。
そこで、自治体の販売について伺うと、公売に出すにあたり問題はないことを確認しているとのこと。
では、次ぎに何故小学校にオブジェとして設置されている郵便差出箱1号を売る必要があったのか?。
どうやら、根石の上の郵便差出箱1号がぐらつき出したので、万が一倒れて生徒に何かがあってはいけないので処分しようということになったそう。捨てるくらいなら譲って欲しいという近隣住民もいたようだが、自力で引き上げることができず諦めたとのこと。
そこで、教育委員会へ相談したところ回収業者に引き取ってもらうことも考えたようだが、引き取り賃を支払う必要がありそうだとのことで断念。ならば、いっそのこと取りに来てくれる人に売ってしまえばよいのでは、となったわけだ。
それにまんまと引っかかったのが自分。
スタート価格は5万円。小学校の先生からするとスタート価格の5万円にもビックリだったようだが、相場は10万を超えているのが実態。
自治体の公売は思ったより安く落ちない。むしろ、信頼がある分やや高めになるとの話もあったのでスタート価格+α程度で落札できればと考えていたが、根石付きで引き取りに行ける距離であることに加え、程度もよさそうなので相場程度の価格を入札することに。
ただ、この自治体の公売は入札に参加するにあたって事前の準備がいろいろあるので、細かいことが面倒な人には向いていないかも。そう考えるとそれに加え、引き取りにくることが条件でもあったのでほとんど入札者はいなかったのではないかと、相場程度の価格を入札したのをちょっぴり後悔したり…
で、入札に参加するためにまずは申込書、誓約書、免許証の写しなどを準備。
郵送し受理されようやく入札参加資格が与えられると、次ぎにいよいよ入札であるが、これが一発入札のみ。
結果は相場程度の金額を入札していたので無難に落札。締結のためにこれまた必要な書類がいろいろあるので急いで準備することに。
まず必要なのは落札通知メールの画面をプリントしたもの、入札保証金を充当するための「契約保証金充当依頼書兼売払代金充当依頼書」、それに引き取りまでの間に何があっても知りませんよの「保管依頼書」の3つに住民票を付けて自治体へ郵送する。
その後、受け取った旨のメールが来るのであとは期日までに指定口座へ振り込むか直接支払に行って支払った時点で締結完了。ようやく引き取って構わないという長い道のり。
事前に運送会社からパレットをもらってきて、庭の郵便差出箱1号で測ってパレットを整える。
重量物サルベージの強力な助っ人とユニック付き軽トラを出動させいざ引き上げに。
そのまま軽トラを横付けできると思っていたが遊具が邪魔して横付けできない。アームを最大に伸ばし吊り上げることにしたが根石部分が土に埋まっていて抜けない。
剣スコを刈りて根石周りを掘ることに。幸い運動場の土なので砂質でサクサク掘れる。
いよいよ吊り上げ。根石部分が重いので取集口にロープをひっかけるだけで安定している。
当初、根石と郵便差出箱1号を繋いでいるのがセンターのボルト1本のみなので、曲がったり折れたり抜けたりしないかと心配していたが、多少隙間はでき根石がボルトを軸にしてクルクル回るのみで全く問題がなかった。
結果的には小学校の運動場にそのまま置いていても倒れることはなかったことになるわけだが、自治体の収入となって子供の教育のために充てられることも考えられるので売ることはプラスであったのかもしれない。
そんなことを考えながら、荷台に立てた郵便差出箱1号のロープをかけ替えゆっくりと寝転がす。
根石は汚れていて御影石かコンクリ製かよくわからなかったが、寝転がして綺麗な底面をみて御影石だったのにニンマリ。
再度吊り上げパレットを敷き込み、郵便差出箱1号と根石を固定するために縦方向にもロープを巻き、毛布で包み左右からロープで押さえつけるように固定し荷造りを終え早々に撤収。
引き取り前と引き取り後の運動場の変化はご覧のとおり。
あとは無事持ち帰り設置するのみ。
自宅到着前のラス前の右折で油断し、根石部分が左へ転がったが大きな影響はなし。
難なく引き上げて持ち帰ってこれたが、このあとトラブルに見舞われることに。
吊り上げている最中にクレーンのモーターが焼き付いてしまう。ウインチのモーターは生きているので一旦荷台に下ろして、クレーンのモーターのカーボンを落とし冷やしてみる。
鈍いながらも何とか設置場所手前までクレーンの頭を振ることができたのでとりあえずそこへ下ろすことに。
まだ、モーターを修理していないのでしばらくはこの状態で眺めることにしよう。
ちなみに、根石のない郵便差出箱1号は昭和32年吉村製、今回引き上げてきた根石付きの郵便差出箱1号は昭和33年吉村製。
ヨシムラマニアにとっては願ってもない縁起物。
0 件のコメント:
コメントを投稿